masiro

短編 List-2

それ、をあなたが望むなら

同世代の人間に比べてマサキは物欲が薄かった。何か欲しいものをねだることもめったになく、それとなく尋ねてみてもせいぜいどこそこで何が食べたいとリクエストがあるくらいだ。なのでシュウはなるべくマサキの価値基準に沿ったものを贈るよう心がけていた。...
短編 List-2

今日も彼は機嫌よく

機嫌が良すぎて気味が悪い。 セーフハウスを訪れるなり開口一番、大変失礼なことを述べてきたマサキにしかしチカは無言でうなずいた。マサキの反応は真っ当だ。実際、その通りなのだ。先日の一件以来、チカの主人はたいそう機嫌が良かったのである。「だって...
短編 List-2

その手のひらに

表舞台に立つのは某国政府とそれに対立する武装組織。舞台裏ではそれぞれを支援する国々と複合企業コングロマリットが流血で淹れたアフタヌーンティーとオイルで焼いたスコーンに舌鼓を打っている。 最初から短期間で終わる任務だとは思っていなかった。だが...
日記

2025/06/24 だいたいネタ元ナゾロジー

本日も無事お引っ越し完了。 そして、振り返って見ると「ネタ元だいたいナゾロジー……」を痛感。というか雑学系のネタ元はほぼナゾロジー。Perplexityで再検索をかけたりもするけれど。 ちなみに「SF、やめました」と「逆さまの木」のネタ元が...
短編 List-2

逆さまの木

バオバブ。別名「逆さまの木」は非常に太い幹を持ち記録された最大の円周は四七メートルにも達する。寿命においては二〇〇〇年にも及びアフリカなどに存在するバオバブは干ばつに耐えられるよう一〇万リットルもの水を蓄えられるようになっている。バオバブが...
短編 List-2

SF、やめました

「なあ、脳ってほとんど水なのか?」「そうですよ、脳細胞の八〇パーセントは水分です」 どうやら先日発表された地上のニュース記事に興味を持ったようだ。 低温凍結された脳細胞を傷つけることなく解凍することに初めて成功したと発表があったのだ。そして...
短編 List-2

素敵なお買い物

思いのほかキャッシュがたまっていたので少し散財しておこうと思ったそうだ。資産があり過ぎるとそれはそれで始末に困るらしい。「だからってな」 少し、の規模がおかしいだろう。どう考えても。「何で郊外に屋敷一軒まるっと購入してんだよ。しかも管理人付...
日記

2025/06/23 添削指示が終わらない

気づけば1,000文字オーバーしてたよ、添削指示。 さすがに指示の確認と修正だけで1時間、2時間取られていた頃に比べればずいぶんとましにはなったけれど、それでも数字表記チェックではいまだに頭を抱えてしまう。算用数字と漢数字。特に「〇(漢数字...
短編 List-2

今、その日が

あれから何十年たっただろうか。 目の前には在りし日の年若かった自分が立っている。 古びた教会、その最奥を飾るステンドグラス。 青く紺く碧く燃え盛るステンドグラスの向こう側に隠されたもの、閉じ込められたものは何であろうか。「それを越えて行くの...