短編

短編 List-3

どうしようもない話

不意に思い出した。その程度のことだった。「お前、顔だけはいいよな」「顔だけですか?」 本人を目の前にして大変失礼な台詞であったが特にシュウが機嫌を損ねることはなかった。何せ無礼の震源地は誰あろうマサキ・アンドーであったのだ。デリカシーに欠け...
短編 List-3

約束された楽園の王様

第一話 そこには空もなければ大地もなく「世界」はただ白かった。白紙化された「世界」であったのだ。ゆえに「住人」たちもまた白かった。 視界を埋める純白の群れはただ一人の例外なく子どもの姿をしていた。髪も肌も衣服もまるで漂白されたかのように白い...
短編 List-3

アドベントカレンダー

精霊信仰の篤いラ・ギアスにキリストの降誕を祝うクリスマスは存在しない。だが、魔装機神隊の主力メンバーはほぼ全員が地上人だ。季節ごとのイベントで盛り上がるのはいつものことだった。それがまずかったのだろう。「あたしもクリスマスしてみたい!」 そ...
短編 List-3

七五〇年前からの

「何だこれ? ……草履っつうか、わらじ?」「サンダルですよ」 何とはなしに訪れたセーフハウス。勝手知ったる足取りで乗り込めば、リビングのテーブルに当たり前のように置かれていたガラスケースが目に留まった。中身は何かと好奇心に釣られてのぞいてみ...
短編 List-3

Treatだけで十分です

濃いめの茶葉に漂う甘いフレーバーは栗とキャラメル。トッピングされているのは香ばしいローストアーモンドと刺激的なピンクペッパーだ。そして、それを収めているのは真っ黒の三角帽子をかぶったかぼちゃの茶缶。創業から一七〇〇年の歴史を誇る老舗高級食料...
短編 List-3

届かない永遠

とにかく暇をつぶせて静かに昼寝ができる場所に行きたい。となれば選択肢などあってないようなものだ。マサキは迷うことなくシュウのセーフハウスに乗り込んだ。だが、めずらしくも家主は留守でありマサキを迎え入れたのは留守番役にと置いてけぼりを食らった...
短編 List-3

いざ、「ボーっとする選手権」!

「あなたにぴったりの『修行』がありますよ」 実に機嫌良くマサキを呼び出したシュウにマサキは背筋を流れ落ちる悪寒を禁じ得なかった。誰がどう考えてもろくな話ではない。経験則からすぐさま回れ右をしたマサキをしかしシュウは見逃さなかった。そもそも逃...
短編 List-3

彼女たちのアフタヌーンティー

二週間にわたる任務だった。テロ組織の鎮圧とテロに乗じた火事場泥棒すなわち山賊の拿捕。出動したのは地形的に優位を取りやすいザムジードとガッデス。そして、サイフラッシュと同様敵味方識別機能を有する【大量広域先制攻撃兵器MAPW】——サイコブラス...
短編 List-3

永遠と幸運に潜むもの

「これ、カフスボタンじゃねえのか?」「正式名はカフスリンクスですね。カフスボタンは和製英語ですよ」 首を傾げるマサキの手のひらできらめくのは本物のモルフォ蝶の羽を使ったカフスリンクスだった。光の加減と角度によって青く蒼く碧く輝く永遠と幸運の...