短編 List-3

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七五〇年前からの

「何だこれ? ……草履っつうか、わらじ?」「サンダルですよ」 何とはなしに訪れたセーフハウス。勝手知ったる足取りで乗り込めば、リビングのテーブルに当たり前のように置かれていたガラスケースが目に留まった。中身は何かと好奇心に釣られてのぞいてみ...
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Treatだけで十分です

濃いめの茶葉に漂う甘いフレーバーは栗とキャラメル。トッピングされているのは香ばしいローストアーモンドと刺激的なピンクペッパーだ。そして、それを収めているのは真っ黒の三角帽子をかぶったかぼちゃの茶缶。創業から一七〇〇年の歴史を誇る老舗高級食料...
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届かない永遠

とにかく暇をつぶせて静かに昼寝ができる場所に行きたい。となれば選択肢などあってないようなものだ。マサキは迷うことなくシュウのセーフハウスに乗り込んだ。だが、めずらしくも家主は留守でありマサキを迎え入れたのは留守番役にと置いてけぼりを食らった...
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いざ、「ボーっとする選手権」!

「あなたにぴったりの『修行』がありますよ」 実に機嫌良くマサキを呼び出したシュウにマサキは背筋を流れ落ちる悪寒を禁じ得なかった。誰がどう考えてもろくな話ではない。経験則からすぐさま回れ右をしたマサキをしかしシュウは見逃さなかった。そもそも逃...
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彼女たちのアフタヌーンティー

二週間にわたる任務だった。テロ組織の鎮圧とテロに乗じた火事場泥棒すなわち山賊の拿捕。出動したのは地形的に優位を取りやすいザムジードとガッデス。そして、サイフラッシュと同様敵味方識別機能を有する【大量広域先制攻撃兵器MAPW】——サイコブラス...
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永遠と幸運に潜むもの

「これ、カフスボタンじゃねえのか?」「正式名はカフスリンクスですね。カフスボタンは和製英語ですよ」 首を傾げるマサキの手のひらできらめくのは本物のモルフォ蝶の羽を使ったカフスリンクスだった。光の加減と角度によって青く蒼く碧く輝く永遠と幸運の...
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幸運に牙剥けば

募集内容は新型ドローンの試運転アシスタント。応募資格としてドローン操作の経験が求められたが自作のドローンを何台も所有する青年にとっては余裕だった。短時間でかんたんに稼げる高収入のバイト。しかもそれなりに名の知れた企業だ。のちのち何かしらのP...
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キトンブルー

ある休日。縁あって地域猫のボランティアを手伝っていたときのことだ。「あれ?」「どうした、プレシア」「ねえ、お兄ちゃん。この子の目、オレンジ色になってるよ?」 プレシアの足下には一心不乱に餌を頬張る地域猫の親子。三匹の子猫たちは生まれてからそ...
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フォスディオン

フォスディオン。ナブロ州の片田舎にあるその湧水泉は直径約三〇メートルの円形をしており泉の底には複雑な水中洞窟が広がっている。世界的にも有名なダイビングスポットであったが洞窟内部はその複雑な地形と水流から過去に何度も遭難事故が起きており、現在...