短編 List-2Jack-o’-Lantern 長期の任務から解放されて数日。気晴らしに出かけた先で道に迷った。いつものことだ。問題はそれが夜間であったこと。その小さな町は他地域に比べて土着信仰の色合いが強く、ちょうど夜祭りのピークと聞いてつい足を向けてしまったのだ。「まるでハロウィンだ... 2025.06.28短編 List-2
短編 List-2ステラさん家のマーサ君 まるで白いソックスを履いているかのように足先だけ色が違う猫のことを靴下猫というらしい。そして、今マサキの目の前で老婦人の腕に収まって午睡を満喫している「彼」こそ、真っ黒の毛皮に真っ白い尻尾と靴下が印象的なステラ家の靴下猫「マーサ君」であった... 2025.06.28短編 List-2
短編 List-2ヒマワリ そろえられた家具やインテリアはどれも洗練されていて見ているだけで目を楽しませてくれる。色合いも派手すぎず控えめで暖かい。まるで定規で測ったかのようなレイアウトも完璧だ。計算され尽くした調和にほぅ、と知らずとため息が出る。 けれど同時にとても... 2025.06.27短編 List-2
短編 List-2懐郷に啼く 「マサキが帰ってこないのよ」「いつものことではありませんか」 【方向音痴の神様】と評されるほど彼の方向感覚は壊滅的だ。片道一〇分の食料品店へ出かけて行って数時間迷子になるのは日常茶飯事。保護する側も慣れたものだ。任務に出れば出たで一時間で帰... 2025.06.27短編 List-2
短編 List-2ファーストエイドキット 研究の虫はここ三日間研究室にこもったまま出てくる気配がないという。予定ではあと二日はこもっているそうだ。めずらしく手土産を持ってきたというのに手持ち無沙汰になってしまったマサキは、かしましいローシェンを相手に暇をつぶすことにした。「手土産だ... 2025.06.27短編 List-2
短編 List-2STARGAZER STARGAZER——星を見る人。 また、たいそうな名前の腕時計だと思った。 文字盤は夜空をイメージしたミッドナイト・ブルー。ボディはステンレスと二四金プレートで作られ、ベルトは子牛の皮。ダイヤルは衛星ユーロパを模したデザインになっていた。... 2025.06.26短編 List-2
短編 List-2目指せ、マンボウ探索! 気づけば常に誰かがそばにいた。それは妹であったり仲間であったりと大抵はマサキに近しい人間たちだった。別段束縛されているわけではなかったが時折それが息苦しいと感じることが少なからずあったのだ。 だからマサキは『秘密基地』が欲しかった。誰の気配... 2025.06.26短編 List-2
短編 List-2今日は『青空教室』です ずいぶんと機嫌が良いらしい。プレシアお手製のスコーンを手土産にやってきたマサキは明らかに浮かれていた。理由はすぐに知れた。「ウェンディがくれたんだよ」 差し出されたそれはドライバーだった。縦一一・五センチ、横二・六センチ。重さ一六八グラム... 2025.06.26短編 List-2
短編 List-2それ、をあなたが望むなら 同世代の人間に比べてマサキは物欲が薄かった。何か欲しいものをねだることもめったになく、それとなく尋ねてみてもせいぜいどこそこで何が食べたいとリクエストがあるくらいだ。なのでシュウはなるべくマサキの価値基準に沿ったものを贈るよう心がけていた。... 2025.06.25短編 List-2