さつまいもチップスの二袋目を開けたときだ。思い出したようにマサキがシュウを振り返る。
「どうしました?」
「いや、今思い出したんだけどよ」
「はい」
「お前、おれのこと好きだよな」
「ええ。それがどうかしましたか」
即答である。それも真顔で。
「どうかしたっていうか……、何か不公平じゃねえかって」
マサキがシュウに対して明確な好意を口にすることはめったにない。その前に羞恥で大爆発してしまうからだ。どうやらそれを後ろめたく感じていたらしい。
「ああ、そういうことですか。特に問題はありませんよ」
合点がいったシュウに手招きされ素直に隣へ腰を下ろせば当然の様に抱きこまれる。
「いきなり何しやがるっ⁉︎」
「逃げないでしょう?」
「は?」
「あなたは逃げずに私の腕の中にいる。これで証明は十分だということです」
「こんなことでいいのか?」
「ええ、これ以上ないくらいの証明ですので」
「そういうもんか?」
「そういうものです」
これで問題は解決した。
めでたしめでたし——とはいかなかった。
主に「圏外」が。
「はーなーしーてぇーっ! 今日こそ、今日という今日こそぶっ飛ばしますわよ、あのバカップル!」
全身全霊をかけて荒ぶるチカの首根っこを前足で押さえ必死に説得するのはシロとクロだ。
「落ち着くにゃ。落ち着くにゃ。冷静になるんだにゃ。あれはただのバカップルにゃ。近寄ったら馬鹿が感染るにゃっ‼」
「もう手遅れにゃのよ。末期。ステージ4。手の施しようがにゃいの。だからあきらめるにゃ」
「だからって限度ってもんがあるでしょうがああぁぁ——っ‼」
