第一章 撃鉄
これは剪定された「本当の」明日
ifが握りつぶした終焉
ここは「めでたしめでたし」が死んでしまった世界線
誰も彼もが袋小路に突っ立って明日にも行けず昨日にも戻れない
【夏の庭】は閉じられたまま
怒りと悪意と憎悪はただただ坂道を転がり落ちる
【夏の庭】は遠いどこかで閉じられたまま
救いを求めて振り上げる、それを殺意と駒鳥が歌う
【夏の庭】はどこにも見あたらない
彼が眠る【夏の庭】
時間から取り残されてしまった彼の庭
悲劇の発端、惨劇の撃鉄
永遠の夏空と入道雲、悪戯な風が踊るヒマワリ畑
彼のためだけに捧げられた夏の情景
遠い彼方に埋もれてしまった【夏の庭】
隠したのは誰? 閉じてしまったのは誰?
呼吸を忘れた彼はどこへ行ってしまったの
