夏の庭 – 裏

夏の庭
夏の庭長編・シリーズ
【終局】

 視界が血で染まる
 思考が途絶えるまであと一呼吸もないだろう
 置いて逝く。置いて、逝かなくてならない
 あの「庭」に彼を独り残して、私だけが
「マサキ」
 いらえなどないと理解していながら手を伸ばす
 空へ、あの「夏空」へ
「マサキ」
 けれど、伸ばした手が彼方の空に届くはずもなく
 閃光

そして、世界は白紙についえた

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